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Fluid Control Engineering

流体制御エンジニアリング

蒸気の基本:蒸気の有効活用

熱の移動は常に高い温度レベルから低いレベルへ移ります。
ボイラーにおいて熱は燃焼室から伝熱管を介して水に伝えられます。
水は更に加熱され蒸気としてボイラー・ヘッダーから配管を通じて各々のシステムへ輸送され、蒸気の持つ熱エネルギーを利用されます。

ボイラーにて発生した蒸気は周囲温度より高温であるため、配管内壁を通じて大気へ放熱されます。
この熱損失により蒸気は凝縮してドレンに変化します。
従ってこの熱損失を最小限にするため配管は保温されています。
ただし熱交換器やエアーヒーター等の場合には蒸気の熱エネルギーを伝達して利用することが目的であるので、可能の限り効率よく伝熱が行われるように種々の考慮をしなければなりません。

間接加熱、つまり熱交換器などで間接的に被加熱物を加熱する場合、蒸気は保有する潜熱を放出して、凝縮し、ドレンになります。
すなわち間接加熱の場合には潜熱のみを利用します。
飽和蒸気は圧力が高くなるほど、その蒸気の持つ潜熱が小さく、飽和水の顕熱は逆に増加します。
このことは、加熱に利用するには高い蒸気圧力ほど無駄にする熱量が多くなります。

例えば、水1,000kgを熱交換器で20℃から80℃まで加熱するのに252,000kJを必要としますが、0.1MPaの乾き飽和蒸気を使用すると、 その時の潜熱は2,210kJ/kgですので、252,000kJ÷2,210kJ/kg≒114.0kgの蒸気を必要とします。
同じく、0.7MPaの乾き飽和蒸気を使用すると、その時の潜熱は2,056kJ/kgですので、252,000kJ÷2,056kJ/kg≒=122.6kgの蒸気が必要とします。
従って0.7MPaの蒸気よりも0.1MPaの蒸気を使用する方が、その差、122.6-114.0=8.6kgの蒸気を節約することができます。

さらにいずれの場合にもその保有する顕熱はスチームトラップによりドレンとして排出します。
0.1MPaの蒸気の顕熱は503kJ/kgであり、0.7MPaの蒸気の顕熱は719kJ/kgです。
この場合顕熱量の差は(122.6kg×719kJ/kg)-(114.0kg×503kJ/kg)≒30,807kJとなり、この顕熱はドレンとして排出してしまいます。
間接加熱の場合には必要以上に高い圧力の蒸気を利用すると、無駄にする熱量が非常に多くなります。
どの程度、減圧するかは熱交換器部分の温度条件とその蒸気供給口の大きさが確保されているか、また減圧による熱交換能力の低下しないことが前提条件です。

アドバイス

蒸気は低圧になるほど比容積が大きくなります。
0.7MPaでの蒸気比容積が0.2448cm3/kgであるのに対して、0.1MPaでは0.9018cm3/kgと約3.7倍です。
したがって、低圧蒸気に切換える場合には、蒸気管口径を再検討しなければなりません。
なお低圧蒸気を使用するときには、プロセス装置において、蒸気温度と被加熱物の温度の差が小さくなるので、
伝熱面積を増加するか、または装置台数を増加しなければならないことがあります。
しかしこのための経費は一時的であって、低圧蒸気使用による利益は継続的であることは言うまでもありません。

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