目指したのは、究極の省エネルギー性能と究極の耐久性能

ディスク式スチームトラップ

ディスク式スチームトラップは、一般的に“省エネルギーでない”スチームトラップとして考えられてきました。
一般的なディスク式スチームトラップが“省エネルギーでない”スチームトラップであったのは、“作動原理上さけられないエネルギーロスがある” “耐久性が悪い”という2つの要因がありました。

TRAP STARシリーズディスク式スチームトラップは、この2つの課題をクリアすることでディスク式スチームトラップにおける「究極の省エネルギー性能と究極の耐久性能」を実現することができるという設計思想をもって、ヨシタケの持てるテクノロジーを全て注ぎ込み、ディスク式スチームトラップをあらゆる観点で徹底的に追及しました。
想定されうるあらゆる過酷な条件でのテスト、様々な業種のユーザー様のスチームトラップ診断や工場診断を幾度となく実施し、技術・経験・ノウハウを蓄積しながら試行錯誤した結果その答えに辿り着きました。

“作動原理上さけられないエネルギーロスがある”

一般的なディスク式スチームトラップは、ディスクと弁座の間を生蒸気が通過して初めて作動し、この通過した生蒸気はそのままエネルギーロスとなります。TRAP STARシリーズディスク式スチームトラップは、ドレン流入ノズル面積・流出ノズル面積の最適化により、飽和温度に限りなく近い高温ドレンのフラッシュスチームによる作動を実現しました。フラッシュスチームによる作動のため、生蒸気のロスのない作動を実現しました。

“耐久性が悪い”

蒸気

スチームトラップが最もエネルギーロスを発生させるのは、蒸気が「吹放し」に至った時です。
ディスク式スチームトラップが「吹放し」に至るまでには、必ずディスク式スチームトラップ特有の「空打ち」という現象が発生します。「空打ち」とは、スチームトラップに蒸気が流入しドレンが無い状態でスチームトラップが作動する現象のことです。「空打ち」が一度発生すると、頻繁に蒸気漏れを起こしシール面を過流速蒸気が通過することで、加速度的にシール面の劣化が進み、「吹放し」になります。

TRAP STARシリーズディスク式スチームトラップは、この「吹放し」の前兆である「空打ち」がなぜ発生するのか、そしてどうしたらその発生を防ぐことができるか徹底的に追及した結果、究極の耐久性を実現しました。

TRAP STARシリーズディスク式スチームトラップは、これらの一般的なディスク式スチームトラップの至上命題をクリアすることにより、
究極の省エネルギー性能・究極の耐久性能を実現しました。

TRAP STARについて 動と静のハイブリット 空気保温構造による安定作動 シール面の硬度・粗さ精度の向上 厳格な品質管理 シール面をごみ・スケールから保護 ウォーターハンマー・凍結に強い バーサタイル 配管施工が簡単

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動と静のハイブリッド

ボイラー運転前の蒸気配管には必ず空気が存在します。この空気を排除しなければ蒸気は蒸気使用装置・機器まで到達できません。
そのためスチームトラップには、ドレンはもちろんのこと空気を排出する機能が必要となります。
ディスク式スチームトラップは、「流速が上がると圧力が下がる」という流体の力学的特性による作動原理上(ベルヌーイの定理)、何らかの空気排出機能を備えていないと、空気の流入により作動してしまい、空気排出ができません。(エアーロック)
そのため、一般的なディスク式スチームトラップには必ず何らかの空気を排出する機能があり、その種類は主に下記の2つの方法があげられます。

低温時

(1) 熱膨張率が異なる2枚の金属板を貼り合わせたバイメタルを内蔵する
(2) ディスク表面の加工をする、または切れ込みを入れることにより、あえてシール性を低下させる

(2)のシール性を低下させることによる方法は、蒸気ロスにつながるため、エネルギーロスを発生させてしまいます。
また、空気排出能力もバイメタルを内蔵する方法に劣ります。

TRAP STARシリーズディスク式スチームトラップは、(1)バイメタルリングを採用しております。


高温時

バイメタルリングは低温時に径が小さくなり、高温時に径が大きくなります。
低温時には、バイメタルリングが収縮して径が小さくなり、弁座のテーパーをすり上がることにより、ディスクを持ち上げます。これにより、低温空気・ドレンが迅速に自動排出されます。
(サーモスタティックタイプスチームトラップとしての作動)
高温時には、バイメタルリングが膨張して径が大きくなり、弁座のテーパーをすり下がることにより、ディスクは弁座に着座し、ディスク式スチームトラップとしての通常作動になります。
(サーモダイナミックタイプスチームトラップとしての作動)

このDynamic「動」とStatic「静」のハイブリッドにより、配管・機器のウォーミングアップ時間の大幅な短縮と、蒸気ロスのない作動を同時に実現しました。

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空気保温構造による安定作動

空気保温構造

ディスク式スチームトラップは、ディスク上部の変圧室の圧力により閉弁を維持し、変圧室内の蒸気が放熱により凝縮し、変圧室の圧力が降下すると開弁する作動をします。そのため、変圧室内の蒸気の放熱量が変化すると、作動回数が変化します。
つまり、ディスク式スチームトラップは、外気の影響を受けるスチームトラップです。特に、屋外・寒冷地などで使用する場合には、外気の影響を大きく受けます。

一般的なディスク式スチームトラップは、ディスクカバーのみで保温構造がありませんでした。この場合、外気の影響を大きく受け、作動回数が多くなり、スチームトラップ内に蒸気が流入しドレンが無い状態でも開弁作動をしてしまう「空打ち」が発生します。

安定作動
※TSD-7, 7Fはオプションとなります。

TRAP STARシリーズディスク式スチームトラップは、ディスクカバーの外側に保温カバーを設けた空気保温構造を採用しています。この空気保温構造で外気の影響を受けにくくすることにより、空打ちを防ぎます。そのため空打ちによる蒸気漏れはありません。

蒸気保温構造をしたディスク式スチームトラップは、作動回数が過剰に少なくなることにより、ドレン滞留量が多くなります。ドレンを排出する機器であるスチームトラップが多くのドレンを滞留させることは、スチームトラップとしての一番重要な役割を果たせていないことになります。

TRAP STARシリーズディスク式スチームトラップは、空気保温構造の採用により、蒸気漏れがなく、ドレン滞留の少ない安定した作動を実現しました。屋外でも安心してご使用いただけます。

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シール面の硬度・粗さ精度の向上

シール面の硬度・粗さ精度の向上

シール面の硬度・粗さ精度の向上

一般的にディスク式スチームトラップは、他作動形式に比べ耐久性に劣ります。それは、ディスクと弁座が面あたりのシールであり、作動を繰り返すことにより、面に傷が入る、面の形状が変化するなどで、シール性の低下を招くためです。

TRAP STARシリーズディスク式スチームトラップは、ディスク及び弁座に特殊熱処理を施すことにより、ディスク及び弁座の表面硬度を上げ、傷や変形を発生しにくくしました。

また、特殊熱処理されたディスク及び弁座は、旋盤による精密加工後、さらにシール面の平面研削を実施しております。
磁気を帯びたテーブルに加工品を保持し、回転する研削砥石に加工面が均一にあたるようにテーブルが縦横に往復運動する精密かつ均一な平面研削加工を実施しています。
この精密加工・平面研削により、特殊熱処理により硬化したステンレス鋼であるディスク・弁座のシール面粗さ精度を0.001mmまで上げることを実現しました。



粗さ精度 ※μm
粗さ精度

シール面の硬度・粗さ精度を徹底的に追及することにより、高シール性・高耐久性を実現し、蒸気ロスのない作動を長期間に渡り維持することが可能になりました。

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厳格な品質管理

厳格な品質管理

TRAP STARシリーズディスク式スチームトラップは、各部品の入荷品受入検査から機械加工工程、組立工程、出荷工程まで厳格な品質管理のもと製作しています。

特に、TRAP STARシリーズディスク式スチームトラップの省エネルギー、作動安定性、耐久性の根幹を担うディスクと弁座のシール性については、1つ1つ真空漏れ検査を実施しています。厳しい判定基準を満たしたもののみ組立、製品化が許されます。

また、各部品の納入業者管理から、材料ロット管理、工程記録の管理まで徹底した履歴管理体制(トレーサビリティシステム)も確立しています。

徹底した品質管理システムを確立・運営することにより、全てのTRAP STARシリーズディスク式スチームトラップの性能・品質を高水準に保っています。

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シール面をごみ・スケールから保護

蒸気配管で発生するごみ・スケールは管底を這って流れるドレンにほとんど介在します。つまりスチームトラップは、ドレンとともに必ずごみ・スケールが流入する過酷な環境で使用されます。

ディスクまたは弁座にごみ・スケール等により傷が入ると閉弁時のシール性が低下します。シール性が低下すると閉弁を保持する力が低下し、作動回数が増え「空打ち」状態になり、加速度的に「吹放し」まで進行します。

TRAP STARシリーズディスク式スチームトラップは、全てにストレーナを内蔵しております。
ディスクおよび弁座をごみ・スケールから保護することにより、耐久性の向上を実現しました。

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ウォーターハンマー・凍結に強い

スチームトラップ流入管ではウォーターハンマーが発生します。特に、ボイラー立上時の輸送管用スチームトラップの流入管や、バッチ式運転装置用スチームトラップの流入管では多く発生します。
そのため、スチームトラップにはウォーターハンマーに強いことが要求されます。
TRAP STARシリーズディスク式スチームトラップは、耐圧性に優れた部品で構成されているため、ウォーターハンマーに強い構造になっています。

また、寒冷地において、ボイラー停止後にスチームトラップ内に残留したドレンが凍結することがあります。スチームトラップが凍結すると、バルブ作動ができず、スチームトラップとして機能しなくなってしまいます。
TRAP STARシリーズディスク式スチームトラップは、低温時バイメタルリングにより強制的に開弁するため、ボイラー停止後でも自重でドレンが排出され、スチームトラップ内にほとんどドレンが残留しないため、凍結に対して強くなっています。

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バーサタイル

適用圧力範囲が広く、さまざまな用途にご使用いただけます。

適用圧力範囲
 TD-10NA,30NA :0.035MPa ~ 2.0MPa
 TSD-42 :0.035MPa ~ 4.2MPa
 TSD-7,7F :0.035MPa ~ 1.0MPa

主な用途

蒸気輸送管 配管トレース その他温度制御を必要としない用途

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配管施工が簡単

小型・軽量で取付方向に制限がないため、簡単に配管施工できます。

取付姿勢

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