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流体制御エンジニアリング

減圧弁のメリット

減圧弁(Reducing Valve)は、二次側の液体圧力を、一次側の流体圧力よりも低い、ある一定圧力に維持する調整弁です。

減圧弁の主目的はただ圧力を下げるだけでなく、負荷変動による流量を動的に制御することが本来の目的です。

減圧弁は作動方式により違いがありますが、原理的には、管路内の通路をオリフィスによる「絞り」(Throtting)によって減圧するという点では大差はありません。

すなわち蒸気の断熱膨張による状態変化の利用で、このことは減圧弁通過後の圧力変化のみならず、温度、潜熱、及び比容積も変化します。

これらの変化による効果を次に示します。

1.蒸気の高質化

減圧をすることは蒸気の断熱膨張であり、圧力変化に伴い潜熱量が変わりますから乾き度が向上します。
例えば、0.7MPa、乾き度95%の飽和蒸気を、0.1 MPaに減圧すると、

0.7MPa、乾き度95%の潜熱 :2,055kJ/kg×0.951,952kJ/kg (A)
0.7MPaの顕熱 :719kJ/kg (B)

全熱量=AB=1,952kJ/kg +719kJ/kg =2,671kJ/kg (C)

となります。
減圧するとき、減圧弁通過による摩擦や放熱による熱損失が無いと仮定すれば、

0.1MPaの顕熱 :504kJ/kg(D)

となります。
全熱量から顕熱量を引いたものが潜熱量になりますので、

潜熱量=C-D=2,671kJ/kg-504kJ/kg=2,167kJ/kg (E)

となります。

0.1MPaの飽和蒸気の潜熱 :2,209kJ/kg(F)

ですので、

乾き度=E÷F=2,167kJ/kg÷2,209kJ/kgkigou98.1%

となり、0.7MPa、乾き度95%の蒸気を0.1MPaに減圧すると、乾き度は95%から98.1%に向上します。
また、乾き度の高い蒸気を供給することにより、システム内の伝熱面のドレン膜を薄くすることができ、熱交換能力を向上させる結果になります。

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2.減圧による潜熱の増加による省エネルギー

飽和蒸気は圧力が高くなるほど、その蒸気が持つ潜熱は小さく、顕熱は大きくなります。
このことは、間接加熱に利用するには高い圧力ほど無駄にする熱量が多くなることを意味します。

間接加熱の場合には必要以上に高い圧力の蒸気を使用すると、無駄にする熱量が非常に多くなるので、減圧効果による潜熱量の増加により省エネルギーを図ります。 
どの程度減圧できるかは熱交換部分の温度条件と、その蒸気供給口の大きさが確保されているか、また減圧による熱交換能力の低下が無いことが前提条件 になります。

3.キャリーオーバーの低下

現在の高性能ボイラでは、できるだけ高い圧力で蒸気を発生させるほど、還水のキャリーオーバー率を低く抑えることができ、乾き度の高い蒸気を供給することができます。
このことは蒸気の熱交換率を高め、生産性や省エネルギーの上からも重要なことです。

4.均一な加熱条件

減圧弁により二次側圧力を一定にすることにより、システムの加熱条件を安定化させ、熱交換速度を一定として、均一な生産性が可能となってきます。

5.配管費用の節減

減圧する減圧弁までは高圧で蒸気を輸送することができます。
このことは必要な配管径を最小限にすることができます。
配管径を小さくすることは、保温材や管継ぎ手類の節減ができ、さらに放熱面積の減少など、熱量の減少による省エネ効果は大きくなります。

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アドバイス

蒸気配管において、圧力損失、騒音、配管の摩耗は、管内流速が早くなれば加速度的に増大いたします。配管径を小さくすることにより設備費用は少額ですみますが管内流速が速くなりますから、これらの要素を組合せ最も経済的な配管径を定めなければなりません。
一般的に、

飽和蒸気 :20~30m/s
過熱蒸気 30~60m/s

【その他に考慮する点】
低圧になる程蒸気の比容積は急激に増大し、管内抵抗を受けやすくなります。低圧のため圧力損失による影響が大きな要因となります。従って管内流速に対して十分な考慮をしなければなりません。
将来増設が考えられる場合には最大蒸気量にて計算された配管径よりも更に余裕を見込んで決定すべきです。

蒸気流量の計算
蒸気の比重量(ガンマ)は低圧力になると急激に小さくなります。
左記に示す計算式で見れば一定流量(G)を流す場合、比重量(ガンマ)が小さくなると
管径(d)は大きくなります。
つまり蒸気を輸送する場合は高圧力にて輸送し、低圧蒸気が必要なシステムの直前で
減圧する事が輸送管の材料費に見るコストダウンになります。

計算

例題
蒸気量500kg/hを圧力1.0MPaと0.1MPaで輸送する場合の配管径を求めます。

例題

以上のように、1.0MPaで輸送した場合32Aのパイプですが、0.1MPaで輸送した場合には80Aのパイプが必要になります。

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